近くなると・・・
14日。 私の女友達の命日です。 38才の短い生涯のうち13年を私と絡んでくれました。
ピアノが好きで、フジコ・ヘミングウェイのファンで、活け花の先生でもあり、書道の先生でもあり、
2級船舶の免許を持ち、勝気で優しい心を持ち、私を畳みの上で死ねないロクデナシ
と紹介してくれた、女性でした。
「私、○○だからチャッチャと切ってサッサと出てくるからお寿司奢ってよ!」と、勇ましく入院しました。
入院先は先生方や看護婦さんがミルクの常連である大きな病院でした。 毎日、欠かさずお見舞いに来る
私をみんなは、彼氏と思ってたらしいけどザンネンでした。 折り合いの悪い実母との中を取り持ったのも
私でしたが彼氏じゃありません。 そんなこんなで私が13日出発、15日帰着の北海道旅行を
申し込み、担当医に話すと大丈夫だから行っていいですよ。お正月は家で越せるから安心して
行って下さい。と言われました。 取り敢えず12日(実際には13日)の仕事が終わりいけない事だけど
顔だけ見ようと夜中に病院行きました。 宿直医に叱られて家に戻り朝イチで旅行をキャンセルして
その日は寿司屋で彼女の分まで飲食して酔っ払って帰宅。 朝4時にお母さんから電話で容態が
悪化した、と連絡がありタクシーで駆けつけると驚かれました。 北海道にいるハズなのにね。
洗面所で顔を洗って気合を入れて病室に。
苦しそうに息をするだけの彼女の手を握ると以前のように握り返してくれませんでした。
朝、駆けつけた友人達に見守られながら11時55分。 葬儀も私が仕切りました。 いえ
仕切らせて戴きました。彼女に恩返ししたくて。 今、私があるのも彼女のお蔭だと言っても
誰も異論は唱えないはずです。 14日にお墓参りに行くとお花が沢山供えられています。
14日に仕事をしてると呼びかけた訳でもないのに一人、一人と店に来て
彼女の好きだったお酒とグラスを前に置いて飲んで帰ります。
私も仕事が終わると、彼女が私に投げつけた言葉の数々を噛み締めながら
二人で写った写真を前にして飲みます。
ドロドロになるまで飲みます。 彼女の指定席で。